来年の天皇の代替わりに伴う「即位の礼」や皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」に国が公費を支出するのは政教分離を定めた憲法に違反するとして、キリスト教の牧師などの宗教者や市民ら計241人が10日、差し止めを求めて東京地裁に提訴した。信教の自由を侵害されたことによる精神的苦痛への慰謝料として、1人あたり1万円の支払いも求めている。
原告側は、即位の礼の儀式の中に神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」があることなどを踏まえ、「全体として宗教性を帯びており、政教分離の原則などに反する」と指摘。「国が特定の宗教と結びつくことは、ほかの宗教者や無宗教者に不安や恐怖を及ぼす」と主張している。来年4月30日に予定されている天皇陛下の「退位の礼」についても、違憲性を訴えるという。
前回の代替わりでは、即位の礼や大嘗祭などについて計約123億円が支出された。内閣官房は「訴状が届いていないので、コメントは控えたい」としている。(北沢拓也)