新幹線のぞみの台車に亀裂が見つかった問題が起きてから11日で1年がたった。当時、JR西日本の乗務員らが異常に気づきながら走行を止めなかったことが問題視された。その後、どんな再発防止対策がとられているのか。
「のぞみ34号で異臭がある」。昨年12月11日午後2時半、JR西日本の東京の指令所から岡山の車両支所に車両保守の担当者を乗車させるよう手配があった。
約3キロ離れた岡山駅に3人が車で向かい、午後3時16分に乗車。13号車の音が気になり、「床下を点検したい」と申し出た。指令から「走行に支障があるのか」と問われると、「そこまではいかないと思う」とトーンを落とした。
臭いや音、もやなど計30の異変に車掌や保守担当らが気づきながら停止して車両点検せず、新大阪でJR東海に運行を引き継ぎ、名古屋まで走り続けた。その後、13号車の台車枠に破断寸前の亀裂が見つかり、国の運輸安全委員会に新幹線初の重大インシデントに認定された。
JR西によると、山陽新幹線の要衝である岡山駅には1972年の開業当時から走行中の検査が専門の「走行管理班」が常駐していた。だが、車両故障の減少で2000年ごろに班は廃止。駅から離れた支所の車両検査の社員が「走行管理担当」を兼務し、出動要員として1人を配置した。だが、のぞみの異変時には、その担当も別の新幹線の巡回で不在だった。
そのため、普段は作業計画を立てる「技術管理担当」が岡山駅から乗車。JR西の関係者は「走行中の検査は経験がものを言う。専門外で、停車して点検すると強く言えなかったのだろう」とおもんばかる。
■異変報告、大幅…