体外受精させた受精卵のすべての染色体の数を調べる「着床前診断」(PGT―A)の臨床研究について、日本産科婦人科学会(日産婦)は16日、診断を受ける参加者の拡大を検討する方針を明らかにした。早ければ来春にも決める。
PGT―Aは、妊娠、出産の成功率を高めるのが目的。受精卵の細胞をとり、通常46本の染色体の本数を検査する。多かったり少なかったりすると妊娠しにくく流産しやすいとされ、過不足がないものを子宮に戻す。以前は「着床前スクリーニング(PGS)」と呼ばれた。流産は女性にとって心身ともに負担となる。
臨床研究の対象は、流産を2回以上したか3回以上の体外受精で妊娠しなかった35~42歳の女性。日産婦は、全国四つの医療機関と三つの検査施設で先行して行い、その結果をもとに、多くの施設での大規模な研究への参加者数などを決めるとしてきた。
日産婦はこの日東京都内で開いたシンポジウムで、研究の途中経過を報告。参加した77人のうち受精卵を子宮に戻せたのは約5割の38人。うち7割の27人が妊娠し、3人が流産した。いずれも妊娠中の段階で出産した人はいない。単純に比べられないが、流産の回数などが異なる人も含む同年代の体外受精をした女性よりは、流産率が低い傾向だという。今後さらに8人が受精卵を戻す予定。
シンポでは、臨床研究に参加した女性が「この検査は従来の技術より、流産を繰り返す夫婦には希望となる」と述べた。一方、生命倫理の専門家は「生命の選別ではないか」などと指摘。染色体に過不足のある受精卵でも出産できる可能性はあるが、この検査はそうした受精卵を子宮に戻さないことを理由に挙げた。
日産婦の苛原稔倫理委員長は「…