厚生労働省は12日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、介護現場で働く人の処遇改善案を示した。10年以上の経験を積んだ介護福祉士のうち少なくとも1人について、賃金を月約8万円増やすか、年収を全産業平均(役職者を除く)の440万円以上とするよう、処遇改善対象となる各事業所に求める内容だ。
これに対し、分科会委員からは「賃上げの対象を『少なくとも1人』とすると、事業所内で不公平が生じないか不安だ」などの意見も出た。
厚労省は、来年10月からの消費税率引き上げによる増収分1千億円と介護保険料1千億円の計2千億円を使い、ベテランの介護福祉士の賃金を他産業と遜色ない水準に引き上げる方針の下、具体的なルールを検討している。この日の分科会では、経験10年以上の介護福祉士の平均の処遇改善額を、経験の浅い介護福祉士らの2倍以上とする案も示した。