愛知県ではキャベツやブロッコリーなど野菜がたくさん収穫されるのに、県民は野菜をあまり食べないという統計がある。なぜ?
毎週火曜日の午後3時半。名古屋駅前にあるナナちゃん人形付近で、「ナナちゃんストリート オーガニック夕ぐれ市」が始まる。野菜や果物、お茶などを売る店が5、6店ほど並ぶ。「ここのナス、おいしいんだよね」。仕事帰りの会社員らが次々と買い求めた。2時間ほどで完売する店もあるという。
「夕ぐれ市」の実行委員会が5年前から主催。事務局の吉野隆子さん(62)=名古屋市東区=は「仕事が忙しい人たちにおいしい野菜をもっと食べて欲しくて」と話す。吉野さんは「オーガニックファーマーズ名古屋」の代表として、各地で市を開くなど、有機野菜を広める活動をしている。
会社員から農家に転職した浅井英勝さん(58)は、今年から「夕ぐれ市」に参加。冬はカブやジャガイモなどを売る。「こんなにおいしい野菜があるのだから、農家も、もっと野菜を食べてもらえるようアピールしなければ」
愛知県民の1日の野菜の平均摂取量は、都道府県別で男性が全国最下位、女性は45位(2016年、厚生労働省調査)。前回調査の12年は男女とも最下位だった。
食品メーカーのカゴメ(本社・名古屋市)が今年7月に2回、全国の20~60代の男女計約1万7千人に行ったアンケートでも、愛知県の1日当たり平均の野菜摂取量は全国最下位。愛知県民には、「野菜料理は手間がかかる」などと敬遠する声が、ほかの自治体より多かった。朝食の平均品目数も2・22品で、全国平均をやや下回ったという。
愛知県健康対策課によると、普段の食生活ではうどんなどの単品で済ませ、野菜を添えない傾向がある。県民性に詳しい経営コンサルタントの矢野新一さん(69)は「名古屋めし」を、野菜の摂取が少ない理由のひとつに挙げる。「外食が多い。朝はトーストとゆで卵が基本の喫茶店でのモーニング。また、手羽先やみそカツなど濃い味付けが多く、ご飯が進む。野菜まで手が伸びにくいのでは」と話す。
総務省の統計では、名古屋市の…