2019年度の完成に向けて国が建設を進める八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の工事が急ピッチで進んでいる。16年6月から吾妻川をせき止める堤体を造る工程に入り、コンクリート製のダム本体の高さは110メートル前後に達し、山あいに巨大な姿を見せる。
八ツ場ダム建設現場に巨石、頼朝ゆかり? 旧温泉街そば
現場を見学する「やんばツアーズ」は、関東圏で唯一、建設中のダムを間近で見られる「インフラツーリズム」として人気を集めている。施工する清水建設によると、来春までに計画の高さ116メートルになり、仕上がる予定という。来秋には稼働に向けて試験的に水をためる作業が始まる見通しだ。
1952年の当初計画から66年。国内のダム建設史上最高額の約5320億円を投じた同ダムをめぐっては、09年に当時の民主党がマニフェスト(政権公約)に建設中止を掲げて政権交代の象徴に。だが、建設は続き、一転して政権混迷の象徴にもなった。
ダム湖に水没する旧川原湯温泉街などには当時の建物はなく、土砂で平面に整備されていた。(長島一浩)