高額報酬問題をきっかけに事実上の休止状態に陥った国内最大の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)の前身の旧産業革新機構も、最大で年9千万円超の高額報酬を役職員に支払える報酬規定を設けていた。退職後に最大7億円の成功報酬を受け取れる仕組みもある。所管官庁の経済産業省は、JICが届け出た最大で年1億円超の報酬規定を認めなかった一方で、旧機構の報酬規定は容認してきた。経産省の判断の整合性が問われる。
国策投資で高額の成功報酬、外資幹部「あるのが不思議」
旧機構は今年9月、JIC子会社のINCJに改組され、今も存続する官民ファンド。INCJの役員や報酬制度は旧機構を引き継いだ。役職員に業績連動型の報酬を支給した年は事業報告書に報酬総額を記載していたが、詳しい報酬規定は開示されてこなかった。
朝日新聞は10月、旧機構の報酬規定などについて経産省に情報公開請求した。12月3日に開示決定された資料は報酬規定に関する部分は黒塗りだったが、経産省は一転、JICの高額報酬を認めないと発表した同日の記者会見の配布資料の中で、INCJの報酬規定の内容を明らかにした。
それによると、INCJは、累積税引き前利益の3%を原資として成功報酬を分配する業績連動報酬の規定を設ける。3年以上勤める常勤の役職員が対象。業績や役職に応じた獲得ポイントで支給額を決める仕組みで、上限は代表取締役が7千万円、取締役は5千万~6千万円。代表取締役の固定給は省庁トップの事務次官並みの約2300万円で、業績連動報酬と合わせれば最大で9千万円を超す。こうした規定は2011年9月に設けていた。旧機構の設置は09年。09年6月の経産省告示に「役職員の賞与を業績連動させる」とあり、これを根拠に設けたとみられる。
情報公開請求への開示資料など…