東京都多摩市で7月、建設中のオフィスビルで作業員5人が死亡、約40人が重軽傷を負った火災で、警視庁は21日にも、適切な防火対策を怠ったなどとして施工者の中堅ゼネコン「安藤ハザマ」(東京都港区)社員の現場責任者や下請けの作業員ら計6人を、業務上過失致死傷の疑いで書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、下請けの作業員が地下3階で工事用作業台の柱と補強用の柱をガスバーナーで溶かして切り離そうとした際、火が地下3階の下の免震階天井裏にある断熱材のウレタンに直接当たり、揮発性ガスが発生して一気に燃え広がる「爆燃(ばくねん)」という現象が起きたという。本来はウレタンがない地下3階の床上部分を通る柱を切る計画だったという。
火災は7月26日午後1時50分ごろ、多摩市唐木田1丁目で発生。書類送検されるのは、下請けのガスバーナーを使った作業員と免震階で見張りをしていた作業員や、安藤ハザマ社員の現場責任者らで、いずれもウレタンが可燃性だと知りながら、作業員らはウレタンの一部をはがすなどの防火措置を怠り、現場責任者らも作業手順を確認して立ち会うなどの適切な指導を怠った疑いがある。
警視庁はこれまで、安藤ハザマ本社や現場事務所などを家宅捜索し、日報や工事の手順書など段ボール箱約430個分の書類を押収。現場にいた約340人に聴取するなどの捜査を進めていた。