日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとして逮捕された特別背任事件で、取引先の新生銀行が、前会長との取引を「社長案件」として特別扱いしていたことが関係者への取材でわかった。取引は、後に新生銀の社長に就任する外国人副会長の紹介で始まり、リスクを最終判断すべき別の幹部が付け替えの交渉に直接関わっていた。こうした特別扱いが付け替えを容認する背景になった可能性がある。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長は「銀行と協議の上、一時的に日産の信用力を担保として借りただけで、損害を与えていない」と話し、容疑を否認しているという。
関係者によると、2005年にゴーン前会長を新生銀に紹介したのが、当時の新生銀の副会長だった。同氏は直後に新生銀の社長に就任。これを機に、ゴーン前会長は日本円で受け取っていた報酬をドル建てにするため、06年以降、自身の資産管理会社と新生銀との間で金融派生商品であるスワップ取引を契約したという。
だが08年秋のリーマン・ショ…