日韓両政府が慰安婦問題に関する合意を結んで28日で3年。文在寅(ムンジェイン)政権が元慰安婦を支援する財団の解散を11月に決めたことで、「最終的かつ不可逆的」な解決をうたった合意は空文化している。元徴用工や自衛隊機へのレーダー照射をめぐる問題も重なり、日韓は外交関係改善の手がかりを見いだせないでいる。(武田肇=ソウル、鬼原民幸)
「韓国政府は(合意に基づいて日本が出した)10億円を突き返せ」
ソウルの日本大使館近くで26日、慰安婦問題で日本政府に謝罪と賠償を求めて毎週水曜に開く集会があり、中学生を含む約500人が声を張り上げた。主催する元慰安婦の支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協〈ていたいきょう〉)は、合意は元慰安婦の意向に反していると破棄を訴え続けている。
集会では、今年亡くなった8人の元慰安婦の半生が紹介された。うち数人は、日本の拠出金を原資とした1億ウォン(約1千万円)を「和解・癒やし財団」から受け取ったが、触れられることはなかった。女性家族省によると、合意当時に生存していた元慰安婦47人のうち34人が支給を受けたが、韓国メディアで報じられることは少ない。
日韓合意は2015年末、朴槿恵(パククネ)前政権時代に結ばれた。安倍晋三首相による「心からおわびと反省」が明文化され、韓国側も評価していた。合意直後の世論調査で43%が肯定的だったことも、それを物語る。
合意がぐらつき始めたきっかけ…