中国で2015年に人権派の弁護士らが一斉拘束された事件で、唯一裁判が始まっていなかった王全璋弁護士(42)の初公判が26日、天津市第2中級人民法院(地裁に相当)であった。非公開の審理だが、同法院は「後日判決を言い渡す」と発表しており、即日結審したとみられる。王氏の妻はこの日、北京の自宅で軟禁状態に置かれ、傍聴を認められなかった。
中国当局は15年7月9日以降、全国で著名な人権派弁護士や民主活動家ら300人以上を相次いで拘束した。その日付をもとに一連の拘束は「709事件」と呼ばれている。
王氏は、中国共産党が邪教として取り締まる気功集団「法輪功」メンバーの弁護活動を続けてきた。デモ活動やネット上で扇動的な言動を繰り返したとして、17年2月に国家政権転覆罪で起訴された後も、裁判が開かれていなかった。当局の調べに罪状を否定し続けていた可能性がある。
この日、法院周辺では早朝から制服姿の警官が多数配置され、近くの道路を約400メートルにわたって封鎖。道路の反対側で外国メディアや欧米の人権担当外交官らが集まると、カメラを持った私服警官とみられる男女が、記者にカメラを向けるなど、撮影や取材活動を妨害した。
現場には、08年の北京五輪前に「五輪より人権を」と訴えて1万人余りの署名を集め、懲役5年の実刑判決を受けた黒竜江省の民主活動家・楊春林氏も駆けつけた。楊氏は「王全璋は正しい。無罪釈放せよ」などと声を上げたが、まもなく当局者とみられる10人以上の男に連行された。
一方、王氏の妻、李文足さん(33)はこの日早朝、裁判の傍聴に向かうため北京の自宅を出たところで公安当局者らに行く手を阻まれた。李さんは、当局が3年余りにわたり王氏を拘束し続けていることに対する抗議を継続している。前日にも当局から警告を受けたといい、SNSに「違法に家に閉じ込められている。自由な翼で天津へ飛んでいきたい」と訴えていた。
王氏の長期拘束を巡っては、国…