イーゴリ・トマソンさん(右)はときどき日本人墓地を訪れ、倒れた墓などを直している=12月2日、色丹島斜古丹、ウラジーミル・ラブリネンコ撮影
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安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が11月14日、1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させることで合意した。56年宣言には、平和条約の締結後、歯舞、色丹の2島を日本に引き渡すと記されており、2島先行返還を軸に協議が進むことを意味する。
朝日新聞は11月下旬から12月上旬にかけて色丹島に臨時助手を派遣し、合意に揺れる島民の声を聞いた。
北方領土・色丹島の町・穴澗(あなま)(ロシア名クラボザボツク)にあるディーゼル発電所。99年に日本の人道支援で建設され、壁には「日本国民の友情の印として」などと日本語とロシア語で書かれたプレートが飾ってある。
日本の人道支援で完成したディーゼル発電所。壁には「日本国民の友情の印として」などと日本語とロシア語で書かれたプレートが飾ってある=11月25日、色丹島穴澗、ウラジーミル・ラブリネンコ撮影
この発電所で技術者として働くウラジーミル・ボイトコフさん(66)は「19年過ぎてもまだ動き、地域に電気を送っている。日本人に感謝している」と語る。
色丹島のロシア人島民は、北方領土の中で最も親日的といわれています。島内には約3千人が住んでおり、返還が実現すれば島民の処遇が問題となります。人々に話を聞くと、複雑な胸の内が垣間見えました。
ところが、安倍首相とプーチン…