米トランプ政権が仕掛けた通商摩擦の影響が、米国を代表するハイテク企業の業績に及んできた。米中の対立が世界経済の減速を引き起こしかねない――。市場にくすぶっていたそんな懸念が、現実のものとなりつつある。ただでさえ不安定さを増していた金融市場は新年早々、「アップル・ショック」に見舞われた。
為替市場にアップル・ショック 円急伸、一時104円台
外国為替市場では2日夕(日本時間3日朝)、円相場が一時1ドル=104円台後半(前営業日の前年末は109円台半ば)をつけるなど、急激な円高ドル安が進んだ。18年3月下旬以来、約9カ月ぶりの円高ドル安水準。円がリスクを避けるための「安全資産」とみなされて買われた。ただ、その後はドルを買い戻す動きも出て、3日午前(同4日未明)時点では1ドル=107円台で取引されている。
3日のニューヨーク株式市場では、アップル株が一時10%も急落。大企業でつくるダウ工業株平均も大幅反落で始まり、前日終値(2万3346・24ドル)からの下げ幅は一時600ドルを超えた。米中摩擦の影響の深刻さがあらわになったとの受け止めから、投資家はリスクを避ける姿勢を強めている。4日に新年の取引が始まる東京市場にも波乱が及ぶ可能性がある。
世界的な景気減速懸念がくすぶる中、米金融市場では政府閉鎖など米トランプ政権の混乱や、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げへの警戒感が強まっている。大企業でつくるダウ工業株平均はピークの昨年10月から約4千ドルも下落。下げがきついのは、主力のIT銘柄だった。アップルのさらなる急ブレーキで、市場は当面荒れ模様となるおそれがある。(ニューヨーク=江渕崇)
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