28日の東京債券市場で長期金利が低下し、指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、前日より0・03%幅低下(国債価格は上昇)し、マイナス0・01%となった。長期金利がマイナスになるのは昨年9月以来、1年3カ月ぶり。
世界的な株価下落で、安定的な資産とされる国債を買う動きが強まり、金利が下がりやすくなっている。日本銀行が27日公表した来年1月の国債買い入れ方針で、購入額を従来より減らさなかったことで、市場には国債の品薄感も出た。
日銀は大規模な金融緩和で長期金利が下がりすぎたため今年7月に金利上昇を容認する政策修正を行った。長期金利が「ゼロ%程度」になるように国債を買うが、買う量を調節して、金利変動幅を従来の倍程度のプラスマイナス0・2%に広げた。
今月20日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田東彦(はるひこ)総裁は、「その範囲でマイナスになってもそれ自体は問題ではない」と、マイナスを容認する発言をしていた。これまではプラスマイナス0・2%の範囲内での金利上限が意識されてきたが、金利低下局面ではマイナス0・2%の下限が意識されそうだ。(湯地正裕)