商船三井客船は8日、大型クルーズ船「にっぽん丸」(全長約166メートル)が先月末に米国・グアムの港で桟橋と接触する事故を起こし、現地当局の検査で50代の男性船長からアルコールが検知されたと発表した。日本の基準を超える量とみられる。船長は「気持ちを落ち着かせるために事故後に飲酒した」と話しているという。
国土交通省などによると、事故は先月30日午後9時すぎ、グアムを出発した直後に発生。船長が操船し、船の後部に穴があくなどした。乗員乗客計624人にけがはなく、燃料漏れもなかった。国の運輸安全委員会は8日、事故調査官を指名して調査を始めた。
米当局が事故後に船長のアルコール検査をしたところ、血中濃度が現地基準の0・04%を超えていた。この数値は呼気に換算すると1リットルあたり0・2ミリグラムほどで、日本の基準で乗務が禁止されている0・15ミリグラムを超えているとみられる。日本の法律ではアルコール検知器を使った飲酒検査は義務ではなく、同社は勤務前に対面で乗組員の状態を確認していた。
にっぽん丸は客室が202ある豪華客船。今回のクルーズは、先月26日夕に横浜を出発し、グアム、サイパンに滞在し、1月3日夕に横浜に戻る予定だった。料金は2人1部屋の利用で1人あたり36万8千円~164万円だった。事故を受けクルーズは中止された。(贄川俊、北見英城)