日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が2015~17年度の役員報酬計約43億円分を過少に記載したとされる事件で、証券取引等監視委員会は10日、前会長と前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)、法人としての日産を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に告発し、発表した。特捜部は11日、2人と日産を同法違反の罪で起訴する方針だ。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
監視委の発表によると、17年度までの3年間の報酬が実際は計約71億7500万円だったのに、報告書には計29億400万円と過少に記載した。記載せずに隠した報酬は約42億7100万円分にのぼるという。
日産では、すべての取締役の報酬総額は毎年「29億9千万円以内」を上限としているが、ゴーン前会長が隠していたとされる報酬を足すと、16、17年度はこの上限を超えていたという。
2人は10~14年度の前会長の報酬計約49億円分を過少記載した罪ですでに起訴されている。今回告発された3年分を合わせた計8年間の虚偽記載の総額は91億円を超える。