日本原子力発電(原電)・東海第二原発(茨城県東海村)の新安全協定をめぐり、原電と地元6市村の間で「事前了解」の認識が割れている問題で、原電の村松衛社長は10日、報道陣に「協定書に沿って対応する」と述べるにとどまり、事前了解について明言を避けた。
東海第二の再稼働、原電「事前了解」否定 交渉時と一転
「6年間の交渉何なんだ」 東海第二の了承権否定に村長
村松社長は同日、県内の自治体や事業者らとの新年会後、取材に応じた。新協定では6市村から事前了解を得るのか質問が続いたが、村松社長は「事前協議を通じて実質的に事前了解を得る仕組み」と、協定の文言を繰り返した。
原電と6市村の交渉を記録した公文書には、2017年3月に村松社長が「自治体の合意が得られるまでは再稼働できないという覚悟」と発言した記載があるが、「議事の中身は非公開。最終的なものが新安全協定」とした。また、再稼働の意思表明についても「信頼関係の構築や住民への説明会もある」として明らかにしなかった。
6市村の一つで、再稼働反対を明言している那珂市の海野徹市長は「信頼関係は完全になくなった。自分の言葉には責任をもってほしい」と話した。(比留間陽介)