株が安く買えるとうその話を持ちかけ、購入代金として1億2千万円をだまし取ったとして、横浜地検特別刑事部は10日、山梨県南アルプス市の「嘯月(しょうげつ)美術館」の代表理事、河西宏和容疑者(77)=横浜市都筑区=を詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕し、発表した。地検は認否を明らかにしていない。
同部によると、河西容疑者は2015年3月上旬ごろ、滋賀県草津市の人材派遣会社=17年に破産=に「証券会社がリクルート株の売却先を探している」「嘯月美術館経由で安く売り渡すことができる」などとうその話を持ちかけた。その上で、偽造した株式保有証明書をファクスで送ってこの話が本当だと信じさせ、15年4月、株の代金などとして1億2千万円をだまし取った疑いがある。実際の株価の半額程度で買えると持ちかけていたとされる。同部によると、河西容疑者は東京協和信用組合の乱脈融資事件で背任罪に問われた元イ・アイ・イ―インターナショナル社長、高橋治則氏=故人=の側近だったという。(飯塚直人)