公共交通機関の乗務員の飲酒問題が相次いでいることを受け、国土交通省はパイロットと同様に、鉄道の運転士や船舶の船員に対しても飲酒検査を義務づける方針を固めた。すでに検知器を使った業務前の検査をしている会社も多いが、義務ではなかった。
石井啓一国交相は11日の会見で「アルコール検知器を使用したチェックや記録保持の義務づけなどを早急に検討する」と述べた。省令や通達などを改正して対応する見通し。
国交省によると、鉄道や路面電車の運転士については、運行会社174社のうち171社ですでに検知器を使った飲酒検査をしている。だが、検査の義務づけや統一の数値基準はなかった。船舶では5トン以上の船の船員には呼気1リットルあたり0・15ミリグラム未満というアルコール基準があり、検知器を使って独自に飲酒検査をしている会社もあるが、やはり検査の義務づけがなかった。
船舶では昨年末、商船三井客船のクルーズ船「にっぽん丸」が米国・グアムで事故を起こし、男性船長から国の基準を超えるとみられるアルコールが検出された。にっぽん丸では検知器を使った乗務前の飲酒検査がされておらず、飲酒への管理体制が問題になっていた。(贄川俊、北見英城)