生後3カ月の長男を揺さぶって意識不明の重体に陥らせたとして傷害罪に問われた建設作業員の三浦孝平被告(29)の判決が11日、大阪地裁であった。渡部市郎裁判長は「揺さぶりによって傷害を負ったかは合理的な疑いが残る」と述べ、無罪を言い渡した。
三浦被告は2015年3月14日、大阪市住吉区の自宅で、生後3カ月だった長男の体を揺さぶるなどして頭に衝撃を与え、回復の見込みがない意識障害や手足のまひを伴う急性硬膜下血腫などを負わせたとして起訴された。長男は意識が戻らない状態が続いている。
三浦被告は一貫して否認していたが、検察側は事件当日に妻が外出し、被告と2人きりになるまで長男に異常はなかったと主張。長男の頭部に揺さぶりの症状とされる広範囲で複数の急性硬膜下血腫があり、妻が外出してから約30分間で容体が急変したのは被告の暴行が原因と指摘していた。
判決は、「血腫は暴行以外の理由で生じた可能性がある」などとした弁護側主張の根拠となる脳神経外科医の証言を覆す根拠は示されていないと指摘。何らかの原因で呼吸が止まり、低酸素脳症に陥った可能性も否定できず、被告の暴行は推認できないと結論づけた。
弁護人の川上博之弁護士は判決後、「専門的知識を持たない取調官が(被告の犯行だと)決めつけて取り調べをした。幼い我が子が傷ついて自分を責めない親はおらず、本当に残酷だ」と話した。
被告は運転免許を取得せず、無免許運転したとする道路交通法違反罪でも起訴され、傷害罪と合わせて懲役5年を求刑されており、渡部裁判長は道交法違反罪については罰金30万円を言い渡した。(畑宗太郎、多鹿ちなみ)