厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切調査について、根本匠厚労相は11日の閣議後記者会見で、「政策立案や学術研究、経営判断等の礎として正確性が求められる政府統計について、こうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます」と謝罪した。統計をもとに給付水準が決まる雇用保険と労災保険の給付額が本来より少なかった人には追加給付を行う方針も表明した。
勤労統計、昨年1月から急変 算出法変更で賃金高い伸び
本来はすべてを調査すると決まっている従業員500人以上の事業所について、厚労省は2004年から約15年間にわたり、東京都分は約1400事業所のうち約500事業所だけの抽出調査を続けてきた。不適切な調査を組織的に隠蔽(いんぺい)していた可能性を問われ、根本氏は「組織的隠蔽があったという事実は現段階ではないと思っている」と強調。不適切調査に関与、把握していた職員の範囲については「調査中」とだけ述べた。
04年に抽出調査が始まった経緯については明らかにせず、厚労省内に設置されている弁護士らによる監査チームで調査を続けると説明。「さらに動機、目的、職員の認識などに力点を置いた調査を続け、その結果を踏まえ、こういった事態を二度と起こさないよう徹底した再発防止策を講じる」とした。