知的障害がある人々の世界各地での活躍を追ったドキュメンタリー映画「Challenged(チャレンジド)―困難な存在の日々、そして旅立ち―」が、5月にも完成する。監督を務めた小栗謙一さん(71)は「違いを受け入れ、共に生きることの素晴らしさを伝えたい」と話している。
知的障害者のスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス(SO)」を広めるために始まった映画制作の5作目。これまでの作品は各地の映画館や自主上映会などで披露されてきた。
最初の3作はSOがテーマで、4作目は長崎県雲仙市を拠点に活動する知的障害者の和太鼓集団「瑞宝太鼓」を追った。この瑞宝太鼓がフランスの芸術祭で演奏を披露することになり、5作目の制作が始まった。フランス公演で新曲「天地長久」を演奏した模様や、約30年前にリハビリとして始まった瑞宝太鼓の歩みをたどり、メンバーがどう自信をつけ、自立していったかを描く。
さらに、この芸術祭に参加したフランスのヒップホップグループや、ドイツの劇団で活動する知的障害者らも取材。福祉の先進国と言われるスウェーデンでの障害者に対する取り組みも取り上げる。一連の映画制作の集大成といえる内容になるという。
制作は個人や団体からの寄付で支えられており、故三笠宮崇仁さまの長女、近衛甯子(やすこ)さん(74)も支援を呼びかける。義理の姉で、公益財団法人「スペシャルオリンピックス日本」名誉会長の細川佳代子さんに協力を求められ、活動に加わった。近衛さんは「誰もがパーフェクトではないのだから、障害も個性として受け入れる社会になればいいと思います」と話す。
近衛さんらは今月27日に東京・上野の東京文化会館で、映画への支援を募るチャリティーコンサートを予定。ハープ奏者の吉野直子さんと、バイオリン奏者の白井圭さんが出演する。映画やコンサートへの問い合わせは「able(エイブル)映画製作委員会」(03・6809・2008)。(中田絢子、斉藤寛子)