「山田錦」といえば、日本酒好きにはたまらない響きだ。兵庫県生まれの酒米は、誕生から80年を経た今でも「絶対王者」として君臨している。一方で、新しい酒米を開発して王者を脅かそうという地域の取り組みもある。
「獺祭」の名前使わない NYに酒蔵、社長が語った戦略
酒からSAKEへ
「アメイジング(素晴らしい)!」
兵庫県三木市の吉川町(よかわちょう)奥谷地区。穏やかな丘陵地の合間に広がる田んぼに昨年の10月上旬、鎌を使って稲を刈る外国人たちの歓声が響いた。
外国人たちは、お酒に関わる人材を育てる英国の教育組織で、日本酒を教えるメンバーたち。米国やカナダ、中国などでバイヤーとしても日本酒の普及に取り組んでいるという。
酒造会社をめぐりつつ、最高品質の山田錦の収穫を体験するのが今回の日本訪問の狙いだ。
日本酒講座の責任者、アントニー・モスさんは「山田錦はブランドであり、その栽培場所を見て、酒になるまでのストーリーを理解することが大切。講師たちにとって貴重な経験になった」と喜んだ。稲刈りの場所を提供した吉川町山田錦村米(むらまい)部会の五百尾(いおお)俊宏会長は、「兵庫の山田錦の素晴らしさを理解して、山田錦を使った日本酒をもっと世界に広めて欲しい」と期待する。
山田錦は、ふつうの飯米に比べ…