東京・下町の銭湯をくまモンがジャック――。熊本県は17日、都内の銭湯と連携した熊本のPR企画を2月に始めると発表した。のれんから風呂おけ一つに至るまでそこかしこに県の「営業部長」くまモンをあしらい、洗い場の「銭湯画」には富士山ではなく阿蘇五岳(あそごがく)がドーンと描かれる。1カ月間、江戸っ子の憩いの場が熊本一色に染まる。
東京スカイツリーから600メートルにある「押上温泉 大黒湯」(墨田区横川3丁目)。近所の住民のほか海外の観光客も一風呂浴びに来る、1949(昭和24)年創業の老舗だ。ここで2月6日~3月4日に「銭湯くまモン」が開かれる。
男風呂と女風呂を貫く洗い場正面の壁(縦約3メートル・横約7メートル)には、阿蘇五岳の他に米塚(阿蘇市)、熊本地震で被災して復旧途上の熊本城大天守、天草のイルカ、熊本の工芸品が所狭しと描かれる。くまモンと、県出身で日本初の五輪マラソン選手である金栗四三(1891~1983)も。国内で3人だけといわれる銭湯絵師の田中みずきさん(35)=東京=が、下書きなしでオープン前の2日間で描き上げる予定だ。
世界最大級のかんきつ類、晩白柚(ばんぺいゆ)などの熊本特産品が日替わりで浮かぶ露天風呂も楽しめる。
期間中は催しも多彩。球磨焼酎やいきなり団子、辛子れんこんなど熊本の味を楽しめる「地酒&名産物を大満喫Day」(2月9日午後~10日朝)▽暗闇を光と音で彩り写真撮影もできる「ナイト銭湯Day」(同16日夕、参加申し込みが必要)▽箱根駅伝で「山の神」として知られた元東洋大陸上部員の柏原竜二さん(29)と近くの隅田川沿いをランニングし、熊本特産のイチゴ「ゆうべに」でのどを潤し、仕上げに銭湯で汗を流す「くまモン ランニングDay」(同23日午後、同)も。期間中に催しをSNSで投稿すると特製ステッカーがプレゼントされる。
企画に県は1380万円をかけ、首都圏での熊本の認知度アップを期待する。担当者は「1カ月間の長期のイベント。じっくりと拡散させていきたい」。17日に記者会見したくまモンは「熊本の魅力をPRするためにがんばるモン」とコメントした。
問い合わせは、県広報グループ(096・333・2027)。(田中久稔)