福岡県田川市で今月上旬にあったイベントの会場で、元貴乃花親方の花田光司さんが陸上自衛隊の四輪駆動車を運転した。陸自車両の運転は内規で隊員に限定されている。対応が適切でなかったとして、自衛隊福岡地方協力本部の飯塚地域事務所は現場にいた隊員4人を口頭注意した。
イベントは同市の石炭記念公園で開かれた「TAGAWAコールマイン・フェスティバル 炭坑節まつり」。飯塚地域事務所は会場に隊員募集のための広報テントを設けていた。
陸自西部方面総監部によると、イベント当日の4日午前9時半ごろ、展示の準備中に元親方が知人の男性と訪れた。隊員はPR用の記念撮影を考え、展示物の搬入用に止めていた小型トラックへの乗車を依頼し、元親方は承諾して運転席に座り、知人は助手席に乗った。隊員4人で撮影していたところ、元親方はエンジンをかけて車を動かし、公園内を数十メートルほど1周した。イベントが始まる前で他に人は少なかった。
総監部広報室は取材に「隊員は車両のそばから口頭で制止しようとしたが、とっさのことで声が届かなかった」と説明。陸自の規則では操縦資格をもった隊員のみが運転できるという。「乗車していただく際に運転できないことを説明していなかったのは不適切だった」としている。
元親方は昨年まで大相撲九州場所の際に田川市に宿舎を置いており、「たがわ魅力向上大使」を務めている。(田中久稔)