ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子は27日、札幌市の大倉山ジャンプ競技場(HS137メートル)で個人第16戦があり、個人総合首位の小林陵侑(土屋ホーム)が236・6点で3位に入り、4戦ぶりに表彰台に上がった。1回目に124・5メートルで8位につけ、2回目に129・5メートルで順位を上げた。シュテファン・クラフト(オーストリア)が248・2点で3連勝し、通算15勝目を挙げた。46歳の葛西紀明(土屋ホーム)は131・5メートル、127・5メートルの229・9点で、今季初のベスト10入りとなる7位となった。中村直幹(東海大)が20位、小林潤志郎(雪印メグミルク)が22位、佐藤慧一(同)が23位、伊東大貴(同)が26位、佐藤幸椰(同)が28位だった。
4試合ぶりに表彰台
同じ条件で飛べれば、小林陵侑は強い。
1回目は前日同様、一人だけ風に泣き、124・5メートルで8位と出遅れた。だが、2回目は優勝したシュテファン・クラフト(オーストリア)と同じぐらい有利な向かい風を受けると、129・5メートルとひと伸びして3位に。4試合ぶりに表彰台に戻ってきた。
地元で立つ表彰台は重みが違う。コンサート会場のように、名前入りのうちわを持ったファンらから大声援を受け、戸惑いもある。「びっくりしました。アイドルか!と。すごく応援してくれてうれしい」
ジャンプ週間を制して大ブレークした今月は疲れが知らぬうちに増していた。常に優勝争いに絡み、長時間移動する厳しい日程。欧州勢からは何げない動きさえ研究されている。「遠征中はさえない感じで心も疲れたけれど、日本で気持ちをリセットして回復した」
すぐに欧州に戻り、世界選手権、さらには日本男子初となるW杯個人総合優勝の偉業に挑む。ことあるごとに「1勝」を目標に掲げてきたが、この日は珍しく「総合優勝できれば良い」と口にした。心境の変化かと問われ、「(テレビ取材で)総合優勝はどうかという質問だったので」と笑わせた。22歳の日本のエースに気負いも重圧もない。(笠井正基)