厚生労働省の統計不正問題で、「賃金構造基本統計」の担当部署がルール違反の「郵送調査」を行っていることを明かさずに、本来の「調査員調査」から「郵送調査」への変更について昨年11月に総務省に相談していたことが、29日わかった。不適切な調査を認識しながらルール変更で隠そうとした疑いがある。
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この統計と、不正調査が判明している「毎月勤労統計」の担当部署は異なるが、同じ政策統括官付参事官(課長級)が所管する。昨年7月の組織変更まで、賃金構造基本統計の担当部署は毎月勤労統計の担当部署の下部組織だった。
賃金構造基本統計は国の基幹統計の一つで、労働者の雇用形態や職種、勤続年数などに応じた賃金の実態を調査するもの。調査対象は約8万事業所で、総務相に届け出た調査計画では、調査員が事業所への調査票の配布や回収を行い、毎年6月分の賃金を調べる。
厚労省は以前から郵送で調査をしていたが、同省賃金福祉統計室は昨年11月、「調査員から郵送の調査に変えたい」として調査計画の変更申請を総務省に相談。申請書類の文案のやり取りも含めて先週まで調整を続けていたが、総務省関係者は「厚労省から郵送調査をしていることは伝えられていなかった」と話す。
厚労省の毎月勤労統計の不正調査を受け、総務省は基幹統計の点検を実施。結果発表の24日まで厚労省は賃金構造基本統計に問題はないとしていた。厚労省は点検結果が公表された翌日の25日に、「点検漏れ」として調査に問題があったことを総務省に報告。厚労省は28日夜に問題を公表した際、「省内で発覚したのは25日だった」と説明した。
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