南米ベネズエラの大統領の承認問題が、国際社会を二分する。マドゥロ大統領が不当に当選したとして、米国などがグアイド国会議長を暫定大統領と認める一方、ロシアや中国などは「内政干渉だ」と反発。その他の国々もそれぞれの思惑で立場を表明し、「正統な大統領」を巡る混乱は世界を巻き込んでいる。
月給より高い肉1キロ 中南米の優等生はなぜ破綻したか
米国は28日、ベネズエラの国営石油会社に対し、米国内の資産を凍結するなどの経済制裁を発表した。マドゥロ政権の最大の収入源を標的とすることで、退陣圧力を強める狙いだ。
記者会見したボルトン米大統領補佐官は「ベネズエラの安定と民主主義は米国益に通ずる」と強調。「全ての選択肢はテーブルにある」と述べ、軍事介入も辞さない姿勢をみせた。米メディアによると、ボルトン氏はこの際「(ベネズエラの隣国の)コロンビアへ米兵5千人」と走り書きのノートを持っていたという。
米国のマドゥロ政権への強硬姿勢は、26日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合でもあらわだった。
ポンペオ米国務長官は「全ての国はどちらにつくのかを決める時だ。自由の部隊を支えるか、それともマドゥロとその暴力集団と結託するかだ」と演説。ポンペオ氏の後ろに座り、前日にベネズエラ問題特使になったばかりのベテラン米外交官エリオット・エイブラムズ氏も「残念なことにベネズエラはロシアの衛星国になった」「ベネズエラに批判された国が、どれも民主主義(国家)という点が興味深い」と発言した。
同氏は、民主主義を広めるためには武力行使も辞さない姿勢で知られる「新保守主義者」。米メディアによると、2002年にはベネズエラの軍事クーデターを画策した疑いも指摘され、中南米の外交サークルでは知られた存在だ。
トランプ政権は外交政策で、「民主主義」「人権」といった米国の価値観を優先してこなかった。サウジアラビアやトルコなどとの外交でも人権問題をかざすことはほとんどなかった。
異例の介入には、ロシアや中国…