マドゥロ大統領の独裁への反発が広がり、政情が不安定になっているベネズエラ情勢をめぐり、国連安全保障理事会は26日、緊急会合を開いた。米国が反マドゥロ派のグアイド国会議長を暫定大統領として承認するよう呼びかけたのに対し、マドゥロ氏を支持するロシアは「モンロー主義の再来だ」と猛反発した。
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会合前、ロシアのネベンジャ国連大使が「ワシントンによるクーデターの企てだ」と会合に反対したため、投票になり、米英など9カ国の賛成で議題化が決まった。反対はロシア、中国、南アフリカなどの4カ国。2カ国が棄権した。議題化の投票には常任理事国の拒否権はない。
会合の開催を求めた米国のポンペオ国務長官は、「正当性のないマフィア国家」から300万人の国民が国外に逃げているとして、「グアイド暫定大統領に率いられた新たな民主政府を支持する時だ」と各国に呼びかけた。その上で「一刻も早く自由で公正な選挙が実施されることを希望する」と述べた。
会合後には記者団に「各国がマドゥロ政権を金融システムから遮断し、ベネズエラの資産が合法的な統治者に渡ることを望む」とも述べ、マドゥロ政権に圧力を掛けた。
一方、ロシアのネベンジャ氏は「米国の(他国への)介入は何ら新しいものではない。ラテンアメリカを自国の独占権益として、自由にできる裏庭であるかのように扱う姿勢を変えるつもりがない。いわゆるモンロー主義の再来だ」と批判した。
米国は「ベネズエラは残念ながらロシアの衛星国になった」と答弁権を行使。これにロシアは「ベネズエラはロシアの衛星国ではないし、ロシアの外交政策にそのような用語は存在しない」と否定した。
中国の馬朝旭(バチョウキョク)・国連大使は内政不干渉の原則を強調して「政府の主権、独立、安定維持への努力を支持する」と述べた。「ベネズエラ情勢は国内問題で、国際社会の平和と安全への脅威ではない」とも訴え、安保理の議題化にも反対した。
当事国として出席したベネズエラのアレアサ外相は「米国はクーデターの背後にいるのではなく先導者として指示を出している」と反発した。
ベネズエラでは23日、グアイド氏が暫定大統領への就任を宣誓すると、米国やカナダ、ブラジルなど米州の10カ国以上がすぐに承認。これに対し、ロシアと中国はマドゥロ政権への支持を改めて表明していた。
また、マクロン仏大統領は26日、ツイッターで「1週間以内に選挙の実施が宣言されなければ、グアイド国会議長を大統領として承認する用意がある」と投稿。AFP通信によると、スペインのサンチェス首相も同日、「1週間以内に選挙実施が宣言されなければ、グアイド氏を大統領として承認する」と語った。(ニューヨーク=金成隆一)