滋賀医大病院(大津市)で前立腺がんの放射線治療を希望する患者らが病院の決定で治療を受けられなくなったため、治療を受けられるよう病院による妨害を禁止する仮処分を7日、大津地裁に申し立てる。患者が「治療を受ける権利」を主張して裁判所に申し立てるのは異例。
申し立てるのは北海道、東京、愛知、兵庫、岡山、広島の50~70代の前立腺がんの男性7人と同病院の岡本圭生医師(58)。患者はいずれも、体内に放射線源を埋め込んでがん細胞を死滅させる岡本医師の小線源治療を希望している。
岡本医師が特任教授を務める寄付講座は今年12月末の閉鎖が決まっている。同病院は岡本医師の手術は6月末までとし、その後は経過観察期間とすると決定。すでに6月末までの手術の枠は埋まっており、予約ができなくなっている。
患者らは、①術後の経過観察は6カ月も必要なく、岡本医師は7月以降も手術できる②7人は高リスク患者で高リスクでも良好な治療成績をあげている岡本医師の治療を望んでいるとし、病院が7月以降も岡本医師がする治療を妨害しないよう求める。
患者の一人は「私にとっては自分の命にかかわる問題。患者の権利を無視する病院の方針を撤回させたい」としている。滋賀医大は朝日新聞の取材に対し、「回答は差し控える」としている。(出河雅彦)