ミャンマー国会は29日、軍事政権下で定められた憲法の改正に向けた委員会の設置を決めた。アウンサンスーチー国家顧問の与党・国民民主連盟(NLD)は軍の政治関与を定める憲法が「非民主的だ」として、改憲を掲げてきたが、2016年に政権に就いて以降は、軍との関係を考慮して国会での改憲動議を封印してきた。今後、軍との緊張が高まる可能性がある。
地元メディアによると、NLDの上院議員が29日、上下両院の議員によって構成される憲法改正委員会の設置を緊急提案した。改憲をめざす動きに、軍人議員は強く反発。NLD議員らの賛成多数で可決したが、多数の棄権票が出た。
NLDは軍も参加する少数民族武装勢力との和平協議の中で軍の賛同を取り付けたうえで改憲を実現する戦略を描いていた。だが、和平協議が進展しない中、NLDは来年に迫った総選挙に向け、改憲への姿勢を国民にアピールする必要に迫られていた。
現憲法では、軍人枠のほか、外国人の家族がいると大統領になれないことなどが定められており、NLDは改憲を旗印に15年の総選挙に臨み、大勝した。ただ、改憲には国会の4分の3超の賛成が必要で、軍が態度を変えない限り、不可能だとされている。(バンコク=染田屋竜太)