証券取引等監視委員会は5日、中小証券会社「東郷証券」(東京都港区)が複数の顧客の損失を補塡(ほてん)したとして、金融商品取引法違反の疑いで同社の本社などを強制調査した。関係者への取材でわかった。
関係者によると、同社は少ない元手で多額の外貨を売買できる外国為替証拠金取引(FX)で損失を出した数人の顧客に対し、計数千万円の損失を補塡した疑いがある。複数の幹部が関与しているといい、組織的で悪質性が高いと判断した模様だ。
金商法では証券会社に対し、顧客の注文を確認せずに売買をしたり、取引内容を誤認させたりした場合などを除き、顧客の損失を補塡することを禁じている。違反した場合には3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられる。
同社は2002年4月に設立。FX取引を中心に事業を展開し、昨年2月に株取引を始めていた。