3月のアラブ連盟首脳会議で議長国を務めるチュニジアのサブリ・バッシュトブジ外務大臣付国務長官が7日、都内で朝日新聞の取材に応じた。同連盟が7年以上、シリアの加盟資格を停止していることについて、「現政権による市民への悪質な対応は当時から変わっていない」と批判し、再加盟に向けた道のりの険しさを示唆した。
アラブ連盟は、シリアのアサド政権が民主化運動「アラブの春」から起きた反体制デモを武力弾圧したとして、2011年11月に連盟の加盟資格を停止。経済制裁などを科してきた。
バッシュトブジ氏は「シリアはアラブ諸国の重要な一員だ」とする一方、「現政権の姿勢は改善されていない。連盟に復帰可能かどうか関係国の合意形成が必要で、公式的な議論は始まっていない」と述べた。
シリアなどで勢力を持つ過激派組織「イスラム国」(IS)については「脅威は減ったが、完全に消えていない。各国のさらなる協力が必要だ」と指摘した。 チュニジアは11年1月、「アラブの春」で当時の独裁政権が倒された。15年にはテロ事件が続き、日本人も犠牲になった。バッシュトブジ氏は「軍や警察の対策などで治安は安定してきた。我が国は欧州にも近く、若者の人口が多い」と述べ、自国の投資や観光面での魅力を強調した。
アラブ連盟は中東やアフリカ21カ国とパレスチナ解放機構(PLO)による1945年発足の組織。バッシュトブジ氏は、経済関係の強化策などを協議する「日・チュニジア合同委員会」の開催に合わせて来日した。(飯島健太)