サウジアラビア政府は、ムハンマド皇太子が主導して一昨年から始めた「反腐敗」名目の捜査を終結したと発表した。国営通信が30日、伝えた。有力王族らも逮捕した一連の捜査の結果、不動産なども含め4千億サウジリヤル(約11兆6千億円)相当以上を回収したとしている。
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国営通信によると、2017年11月から381人を対象に捜査、著名な投資家で大富豪のアルワリード・ビン・タラル王子や、アブドラ前国王の息子で国家警備隊相だったミテブ王子らも逮捕、首都リヤドの高級ホテル、リッツ・カールトンなどで拘束した。
有力王族らも対象にした捜査には、2017年6月に副皇太子から昇格したムハンマド皇太子による権力固めとともに、既得権益に切り込み腐敗撲滅の成果を公にすることで、国民の支持を得る狙いもあるとみられる。その一方で、昨年10月のサウジ人ジャーナリスト殺害事件への皇太子の関与を疑う声が国際社会に絶えない。(ドバイ=高野裕介)