パレスチナ自治政府のハムダラ首相は29日、アッバス議長に辞表を出した。パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの和解交渉の停滞が、辞任の背景にあるとみられる。ハムダラ氏は「新内閣を樹立するための協議をできるだけ早く成功させてほしい」との意向を示した。新内閣発足まで、現内閣が職務を担う。
ハムダラ氏は2013年、ナジャフ大学(パレスチナ自治区ナブルス)学長から首相に任命され、ハマスとの和解交渉を主導してきた。18年3月にはガザ地区を訪れたハムダラ氏の車列を狙ったとみられる爆発事件が起きた。
ヨルダン川西岸地区を統治する自治政府の主要組織ファタハと、ガザ地区を実効支配するハマスは07年に武力衝突して以来、対立が続く。17年10月に「和解」で合意したが、両派の公務員の扱いをめぐる争いなどから協議は難航し、統一政府樹立の見通しは立っていない。
現地報道によると、ロシアが2月中旬、モスクワで両派を含むパレスチナの各派が参加する会議を開く。和解に向けて仲介する狙いだとみられる。(エルサレム=渡辺丘)