ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は3日、中東のアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。法王庁(バチカン)によると、イスラム教発祥の地であるアラビア半島をローマ法王が訪問するのは初めて。
UAEのメディアによると、首都のあるアブダビ首長国のムハンマド皇太子が3日夜、空港で法王を出迎えた。法王は4日にイスラム教指導者らと会談して、中東での平和構築などについて話し合うとみられる。5日にはUAEに住むキリスト教徒ら約13万5千人を集めた大規模なミサを行う予定という。
バチカンによると、UAEではイスラム教スンニ派が多数を占めるが、同国内にはフィリピン出身などのカトリック信者が約90万人いるという。
法王は出発前、バチカンであった「正午の祈り」で、UAEが隣国サウジアラビアなどと軍事介入するイエメン内戦について言及。「長い内戦で人々は消耗し、子どもたちは飢えに苦しんでいる。食糧配給を確実にする合意が守られるよう関係する勢力と国際社会に訴えたい」と語った。
イエメンでは、2015年からハディ暫定政権と反政府武装組織フーシによる内戦が続いており、これまでに1万人以上が犠牲になっている。
フランシスコ法王は2017年のエジプトやミャンマーなど、キリスト教信者が少数派の国々を歴訪。異教間の対話を積極的に進め、紛争や人権問題の解決を訴えている。3月にはモロッコを訪れる予定だ。(ローマ=河原田慎一、ドバイ=高野裕介)