秋田市で2010年、弁護士の津谷裕貴(つやひろたか)さん(当時55)が自宅に侵入した男(75)=無期懲役が確定=に刺殺された事件で、遺族が国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、仙台高裁秋田支部であった。山本剛史裁判長は一審・秋田地裁判決を覆し、秋田県に賠償を命じる逆転判決を言い渡した。
判決によると、事件当時、現場には秋田県警の警察官2人が駆けつけたが、男から拳銃を奪い取った津谷さんの手首をつかみ、その間に侵入した男が刃物を取ってきて津谷さんを刺して殺した。控訴審判決は、警察官が男を侵入者と識別し、津谷弁護士に加勢していれば、男を制圧して逮捕できた可能性が高いなどと認定。警察官が安全保護義務に違反したとして、県に賠償を命じた。
地裁判決は、警察官が津谷さんを侵入者と認識したことについて「当時の状況に照らすと不合理ではなく、非難できない」として不法行為にあたらないと結論づける一方、男に約1億6480万円の賠償を命じた。男は控訴したが、控訴審判決は男の控訴を棄却した。(渡部耕平)