大阪市は12日、水道局が発注した2012年度以降の工事1445件の約7割で、指定より安価な資材を使った不正が見つかったと発表した。300社以上の業者が関与を認めており、市は一斉に3カ月の指名停止処分に踏み切る方針だ。市職員の関与の有無についても調べるとしている。
大阪市水道局は03年度以降、配水管の取り換えや漏水の修繕などの工事で、掘った穴を埋め戻すときに土に石灰を混ぜた「改良土」を使うよう指定している。
市の説明によると、17年4月、外部から「不適正な材料が使用されている」との情報提供があった。水道局が調べたところ、同年11月に改良土より安価な資材で埋め戻す手口の偽装工事が発覚したため、記録が残る12年度以降の工事の調査を開始。当時完了していたものと工事中の案件計1445件のうち約7割で不正が見つかったという。完了した工事では、約9割に不正が認められた。
市が行った業者らへの聞き取りに対しては、300社以上が不正を認めた。不正業者は、改良土を指定通り使ったかのように偽造した伝票を市に提出していたという。市は不正業者が改良土と安価な素材の差額で利益を得ていたとみている。今年3月に調査を終え、不正業者は3カ月の指名停止処分にしたうえで、損害賠償請求も検討する考えだ。
水道局幹部は安全性について「今のところ陥没などはない」と説明。同局職員の関与については、弁護士を交えた外部監察チームが調査中とした。吉村洋文市長は12日、記者団に「(職員は)本当に知らなかったのか。非常に疑問だ」として、調査を徹底する考えを示した。(吉川喬、新田哲史)
「市職員も知っていたはず」業者証言
大阪市水道局の2012年度以降の工事の約7割で、不正が発覚した。不正を認めた業者は300社を超え、多くが指名停止になる見通しだ。朝日新聞の取材に対して「少なくとも20年前から不正は横行し、市職員も知っていたはずだ」と証言する業者もおり、職員の関与を調査している市の外部監察チームの結論も注目される。
「市指定の改良土は雨にぬれる…