政府は19日、離婚した夫婦間で子どもを引き渡すルールを明確化した民事執行法などの改正案を閣議決定した。養育費や賠償金の取り立てをしやすくする仕組みも規定。裁判所の命令に従わないケースを防ぎ、実効性を高めるのが狙い。
特集「小さないのち」
現行法には、親権を失った親から、親権を認められた親に子どもを引き渡す方法の規定がない。このため、親権者から申し立てがあれば、裁判所の執行官は民事執行法の動産の規定に基づいて強制的な連れ出しを行っており、執行の際は同居する親権を失った親が立ち会うことが原則となっていた。
改正案は、引き渡しに親権者が立ち会えば、子どもと同居している親が不在でも子どもを連れ出せるようにした。国境を越えて連れ去られた子どもの取り扱いを定めた「ハーグ条約」の国内実施法にも、同様の規定を設けた。
子どもの養育費や賠償金の支払い義務を負いながら支払われないケースにも対応する。確定判決などに基づいて裁判所に申し立てれば、相手方の預貯金口座の残高や不動産などの情報を指定した金融機関や公的機関から入手できる仕組みを導入する。
また裁判所の不動産競売に暴力団組員やフロント企業が参加できないよう、裁判所が警察に照会し、売却を拒否できる制度も設ける。