埼玉県朝霞市で2014年、当時中学1年の少女を誘拐して2年間監禁したとして、未成年者誘拐や監禁致傷などの罪に問われた寺内樺風(かぶ)被告(26)の控訴審判決が20日、東京高裁であった。一審・さいたま地裁は懲役9年を言い渡していたが、若園敦雄裁判長は「一審は心理的拘束の悪質性を適切に評価していない」と述べて破棄し、懲役12年を言い渡した。
一、二審判決によると、寺内被告は14年3月、下校中の少女に「両親が離婚する。弁護士から話がある」とうそを言って車に乗せ、少女が逃げ出す16年3月まで東京都中野区の自宅などに閉じ込め、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせた。
高裁判決は、被告が過去の誘拐事件を参考にしており、「少女の心理に付け込んだ極めて巧妙な誘拐」と指摘。物理的な拘束が緩やかだった点については「心理的拘束が強くなったことと表裏の関係にある」とし、被告に有利な事情と評価するのは「監禁の特質を見誤っている」と述べた。
一審判決は「巧妙な誘拐とはいえず、物理的な拘束も緩やかだった」と判断し、検察側の懲役15年の求刑に対し、懲役9年を宣告。検察側と弁護側の双方が控訴していた。(岡本玄)