「毎月勤労統計」の不正な抽出調査問題で、経緯や原因などを再検証している厚生労働省の「特別監察委員会」が、局長級職員が関与する形での組織的隠蔽(いんぺい)は認められないと結論付ける方向で調整していることが分かった。早ければ月内にも追加報告書を公表する。
勤労統計の調査対象の大規模事業所で、東京都分の抽出調査が始まったのは2004年。厚労省は18年1月に本来の全数調査に近づけるためのデータ補正をひそかに始めており、組織的な隠蔽が疑われている。
監察委が今年1月22日に公表した中間報告書によると、石原典明雇用・賃金福祉統計室長(当時)は17年冬、直接の責任者だった酒光一章政策統括官(同)に全数調査を行っていないと説明。酒光氏は「しかるべき手続きを踏んで修正すべき」と指示した。ただ、酒光氏の具体的な指示内容は明確になっておらず、再検証の焦点になっていた。
監察委は石原、酒光両氏への聞き取りを進めた結果、酒光氏は不正調査の非公表を指示したり、非公表を承諾したりしていないことから、「隠蔽の意図」は認められないと判断。局長級職員の関与がない以上、組織的隠蔽を認定するのは難しいとみる。石原氏個人に隠蔽の意図があったのかは慎重に見極めている。