不正調査が続いた「毎月勤労統計」をめぐり、厚生労働省は20日、資料がなく再集計ができない2004~11年分について、再集計の代わりとなる精密な推計値の算出に前向きな姿勢を示した。ただ、すでに再集計した12年分以降のデータから04年~11年分を推計し、雇用保険などで過少給付となった人への追加給付額を決めている。推計値が変われば、給付額見直しが議論になる可能性もある。
勤労統計は、従業員500人以上の事業所はすべて調べるルールだが、厚労省は勝手に04年から東京都分で約3分の1を抽出する方法に変え、さらに18年1月からは全数調査に近づけるデータ補正をしていた。
不正発覚後、厚労省は資料が残っていた12~17年分はデータ補正と同じ手法で再集計し、総務省の統計委員会は政府の統計として妥当と認めている。ただ、04~11年分は一部資料の紛失・廃棄で再集計できていない。統計委は、賃金などを同じ条件下で比べられなくなるとし、再集計の代替案の検討を厚労省に求めてきた。
統計委はこの日の会合でも、必要な書類がすべてそろわなくても、手元にある類似の資料を使って推計することができるとして、具体的な代替手法の検討を改めて要求。これに対し、厚労省の藤沢勝博政策統括官が「誠実に検討する」と述べた。統計委の西村清彦委員長は「データ不足が整理され、推計への道筋が立った」とし、早期の対応を求めた。
一方、不正調査の影響で勤労統…