和牛の受精卵と精液を中国に持ち出したとして、大阪府警が府内の男性宅など複数の関係先を、家畜伝染病予防法違反容疑で家宅捜索したことが捜査関係者への取材でわかった。府警は、受精卵と精液の入手経緯などを調べている。
農林水産省によると、男性は昨年7月、府内の港で農水省動物検疫所の輸出検査を受けずに、和牛の受精卵と精液を持って中国行きの船に乗り、国外に持ち出したとされる。その後中国検疫当局から「輸入不可」とされたため帰国。動物検疫所で受精卵について申告し、発覚した。男性は当時農水省に対し、「知人に依頼された」と説明していたという。
農水省は昨年12月に男性を家畜伝染病予防法違反容疑で府警に刑事告発する方針を固め、府警は同月に関係先を捜索していた。今回の事態を受け、農水省は今月、学識者や畜産関係者で構成する検討会を設置し、和牛の受精卵や精液の適正な流通管理についての議論を進めている。
家畜伝染病予防法は牛の生体や精液、受精卵などを輸出する際には家畜防疫官による検査を義務づけており、違反した場合は3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。