橋梁(きょうりょう)・鉄骨大手「駒井ハルテック」(本社・東京)和歌山工場(和歌山県由良町)で、社員の山本慎也さん(当時22)が作業中の事故で死亡したのは安全配慮義務を怠ったからだとして遺族が20日、同社や上司らを相手取り、約1億1千万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、山本さんは17年2月、溶接作業中に垂直に立てた鉄板が倒れて後頭部を直撃し、約2週間後に死亡した。作業手順書では鉄板は転倒防止のためクレーンでつるすとしていたが、別の社員がクレーンを移動させていたという。御坊労働基準監督署(和歌山県御坊市)が18年10月16日付で労災認定した。
21日に東京都内で会見した遺族らによると、刑事処分後の示談交渉を考えていたが、和歌山県警の捜査の結論がなかなか出ないため提訴したという。母親の美保さん(46)は「息子と同じような危険な環境に身を置いて働かざるを得ない方々のために、裁判で真実を明らかにしたい」と語った。
駒井ハルテックは「訴状を見ていないのでコメントできないが、真摯(しんし)に対応していきたい」としている。