約1世紀ぶりの解体修理が進む奈良・薬師寺東塔(国宝)の最上部を飾る「水煙(すいえん)」が新調され、21日、報道陣に公開された。約1300年の寺の歴史で新調されるのは初めて。創建時の古い水煙と一緒に3月1~10日、白鳳伽藍(はくほうがらん)の会場で特別公開される。
水煙は銅製。塔の最上部を飾る「相輪(そうりん)」の一部で、空中を舞う「飛天」の透かし彫りもある。東西南北に4枚あり、1枚は縦幅約1・9メートル、横幅最大約70センチ、厚み37~50ミリ、重さ約100キロ。老朽化が進み、形状を三次元計測した上で富山県高岡市の伝統工芸高岡銅器振興協同組合に依頼し、「平成の水煙」を新たに作ってもらった。3月中~下旬に東塔に収められる。
薬師寺の松久保伽秀(かしゅう)執事は「隣に並ぶ1300年前の水煙から、新しい水煙に魂を移していく。その場にぜひ立ち会い、薬師寺の歴史の証人になっていただければ」と話す。
特別公開は午前10時~午後4時。無料だが、白鳳伽藍の参拝券(大人800円、中高生500円、小学生200円)が必要。問い合わせは薬師寺(0742・33・6001)へ。
東塔再建の落慶法要は2020年4月の予定。(宮崎亮)