東京都渋谷区の児童養護施設「若草寮」の施設長、大森信也さん(46)が殺害された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元入所者の田原仁容疑者(22)が凶器の刃物について「2~3週間前に購入した」と供述していることが警視庁への取材でわかった。当時、さいたま市内のネットカフェに滞在していたという。同庁は田原容疑者が計画的に事件を起こした疑いがあるとみて詳しく調べている。
児童養護施設で刺され死亡 元入所者「施設に恨み」
「常に優しく寄り添う人」殺害された児童養護施設長:
代々木署によると、田原容疑者は2012年3月に施設に入所し、高校を卒業した15年3月に退所。退所後は施設から紹介や保証をしてもらって東京都東村山市内のアパートで暮らしていたが、昨年9月、家賃を滞納したり部屋の壁を壊したりして大家とトラブルになり、退去した。このトラブルについて大家から施設に連絡があり、施設職員が田原容疑者と会って話し合いをしていたという。
田原容疑者は、アパート退去後は「ネットカフェを転々としていた」と供述しており、事件の2~3週間前には、さいたま市大宮区内のネットカフェに滞在していたという。凶器は包丁で、「大宮のネットカフェ近くの100円ショップで購入した」と述べているという。
施設の防犯カメラでは、田原容疑者が25日午後1時44分、1階玄関から施設内に入ったことが確認されており、1分後には職員が「痛い」「助けて」という悲鳴を聞いていた。田原容疑者は、施設で暮らしていた当時、職員の一人だった大森さんと「面識があった」と話す一方、「施設に恨みがあった。施設関係者なら誰でも良かった」と供述しているという。署は、大森さんがなぜ襲われたのか、詳しい経緯や動機を調べている。