日本銀行の鈴木人司審議委員が28日、水戸市内で講演と会見を行い、金融緩和を巡り「長期にわたり物価上昇率の高まりが抑制される可能性があることにも留意する必要がある」と述べた。2%の物価目標の達成は遠く、緩和はさらに長期化する可能性が高い。今後の金融政策運営は「持久力が必要だ」と語った。
鈴木氏は「『人生100年時代』と言われる中、先行きを見据えた貯蓄でなかなか消費を増やせない」とし、消費が低調な中で物価は上がりにくいと指摘。大規模緩和は約6年と長期化し、政策修正を重ねているが、「将来そのつど、副作用も考えながら修正を図っていく」と述べ、今後も修正があることを示唆した。
超低金利で経営が悪化している金融機関については、「きめこまかくモニタリングしていくことが重要」だとした。「施策の効果の時間軸だけでなく、副作用が累積していく時間軸も複合的な視点でとらえ、適切な施策を考える必要がある」とした。(柴田秀並)