米国の世界的資産運用会社・ブラックロックの日本法人の井澤吉幸会長(元ゆうちょ銀行社長、元三井物産副社長)が朝日新聞の取材に応じた。井澤氏は「ESG」(環境や社会問題、企業統治)を重視した経営の必要性を強調し、「経営者は地域社会だけでなく、世界に対するさまざまな問題に大きな責任を持っているという自覚を持って欲しい」と語った。
ブラックロックは年金や保険の資金を預かって投資し、世界での運用残高は約6兆ドル(660兆円)、日本株の保有は25兆円程度。大口投資家として経営者と対話し経営改善を促している。25日に各社に送ったラリー・フィンク会長名の文書では、企業統治や取締役会の多様性、環境リスクへの対応を重視するとし、「今年は一歩踏み込み、利益と企業理念は表裏一体だと訴えた」(井澤氏)。利益を上げて株主に責任を果たすと同時に、明確な企業理念を掲げる必要性を強調した。
ミレニアル世代台頭で変わる企業
米運用会社ブラックロックの運用方針について、日本法人の井澤吉幸会長に聞いた。
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――ブラックロックの活動は。
「年金や保険会社からお金を預かり、株式や債券などに投資している。日本では年間約300の上場企業と対話をしている。トップと会い、企業統治や長期的な戦略を聞き、場合によっては問題提起をする」
――年に1度、企業にラリー・フィンク会長の文書を送っています。今年の重要ポイントは。
「昨年は企業理念を打ち出して…