「点取るって言うから入れた」。選手の積極性を買い、世界最強相手でもとにかく攻める。これが、なでしこを率いる高倉麻子監督の采配だ。
なでしこ、米と引き分け 世界1位相手「意外とできた」
すべて「ピッ」で観戦 J1神戸が完全キャッシュレスへ
27日(日本時間28日)に米国であった国際大会「シービリーブスカップ」の初戦。2015年ワールドカップ(W杯)覇者で世界ランキング1位の米国と2―2で引き分けた日本女子代表(なでしこジャパン)は、新戦力と指揮官がとにかく積極的だった。
「池尻、点取るって言うから入れたんだけど」。試合後、高倉監督は、後半14分からピッチに送り出したFW池尻茉由(水原WFC)について、どこかうれしそうにそう話した。国際Aマッチ出場経験のなかった22歳。得点は決められなかったものの、アピールしたい部分について「ゴールです」と断言していたとおり、前のめりな姿勢は確かに監督に伝わっていた。
最強相手に5選手が代表デビュー
観客1万4555人、米国のプレーに対しては「USA」コールが起きる完全アウェー。なにより世界一との対戦という緊張感を強いられる状況なのに、国際Aマッチ出場経験のない18歳から23歳の5選手が「代表デビュー」を飾った。
「新しい選手たちの伸びが本当に高い。(新戦力を試すことを)怖がる必要はなんにもない」と話していた監督は「全員で戦いたい。『ベンチの選手はベンチ』って絶対したくはない。みんなを信じて選んでいる」。責任は背負い、選手には期待をかける。その積極性が、対米国戦の連敗を3で止めさせた。
しかし、米国戦後のミックスゾーンで、高倉監督に高揚感は全くなかった。「交代のカードも決まり切ったものではなく、相手によって変えていきたい。私も実験中」
そして報道陣に対して、左右両側に手をさしのべながら冗談めかして言った。「今日の試合、みなさんから見ててどうでしたか。『よくやった』か『もっとやれよ』なのか、思う側に分かれてください。まだ(チーム状態は)それぐらいの感じです。本当に勝ちたかったです」
今大会残り2試合は大幅に選手を入れ替え、6月開幕のW杯フランス大会のメンバーを見極める方針だ。(堤之剛)