中国北東部の内モンゴル自治区で出土した遊牧狩猟民族、契丹(きったん)が建国した遼(りょう)(916~1125)の重臣の墓に描かれた花の文様が、世界遺産・平等院(京都府宇治市)の鳳凰(ほうおう)堂に描かれた文様とよく似ていることが、九州国立博物館の桑原有寿(ゆず)子(こ)アソシエイトフェロー(染織史)の調査でわかった。1053年に建立された鳳凰堂は、日本風の国風文化を代表する建造物として知られているが、大陸文化の影響も受けていた可能性があり、注目されそうだ。
桑原さんが2月中旬、奈良市であった講演会で発表した。桑原さんによれば、1992年に内モンゴル自治区赤峰市で出土した遼王朝建国期を支えた重臣・耶律羽之(やりつうし)(890~941)墓の墓室の門の裏側に花の文様が描かれているのがみつかり、花びらの表現方法が、平等院鳳凰堂の柱に描かれた「宝相華(ほうそうげ)」と呼ばれる花の文様と似ていることが新たにわかった。
さらに、1031年に死去した…